中期経営計画

トップインタビュー 代表取締役社長 大塚信行

2024年度の業績と今後の市場環境について

システム・サービス事業、半導体設計関連事業が堅調。テストソリューション事業は今後の市場回復を見込んでいます。

2024年度は、システム・サービス事業のアイティアクセスとガイオ・テクノロジーが過去最高益を更新し、業績を下支えしました。一方、テストソリューション事業はテスター需要の回復が依然として遅れており、全体としては期初予想を下回る厳しい1年となりました。

米国の関税政策の影響や為替の変動など、市況は依然として不透明ではありますが、システム・サービス事業や半導体設計関連事業は、引き続き堅調に推移する見通しです。また、生成AI(人工知能)の普及や進展、経済安全保障への取り組みなどにより、各国政府が半導体産業への支援を強化していることから、半導体市況の回復が期待されます。これに伴い、テストソリューション事業の業績も徐々に改善していくことが見込まれます。

中期経営計画(2024年度~2026年度)1年目における成果と来年度以降の見通しについて

事業の効率化や収益性の向上など持続的な成長に向けて一定の成果がありました。

中期経営計画の初年度である2024年度は、グループ共通の事業戦略とセグメント別の事業戦略として以下の取り組みを実施し、一定の成果を上げたとともに、2025年度以降の持続的な成長に向けた手応えを感じています。

グループ共通の事業戦略においては、まず「経営資源の再配分による事業ポートフォリオの最適化」で進捗がありました。中期経営計画の数値目標でもあるROIC(投下資本利益率)を事業部および子会社ごとに算出し、モニタリングの指標としました。そのうえで、収益への貢献や将来的な成長が難しいと判断した事業については撤退することを決定し、経営資源の集中と成長分野への再配分を実行しました。2024年度には、ROICが低下していたSTAr Technologiesのファンクションプローブカード事業を譲渡したことで、既に収益性の改善がみえてきています。本戦略は、2025年度以降も継続して推進していく予定です。

「営業利益率の向上」については、人件費や物価の上昇によるコスト増が収益性に影響を及ぼすなかで、競争力と付加価値の向上が不可欠であると認識しています。そのため、当社独自の付加価値を持つ製品やサービスの開発を目指したイノベーション戦略をグループ全体で推進しています。イノベーションは必ずしも短期間で実現できるものではありませんが、2025年度以降に具体的な成果が現れる事業もあると期待しています。

「業績の安定性向上」については、特定顧客への依存から脱却するため、Webマーケティングなどを活用し、顧客層の拡大を図りました。また、製品ラインナップの充実についても、各事業で新製品やサービスの開発がいくつか完了しており、これらの取り組みの成果が2025年度には現れる見通しです。

セグメント別の事業戦略においては、半導体設計関連事業で新規顧客の開拓と既存顧客へのサービス向上に注力した結果が2024年度の売上拡大および安定化につながりました。システム・サービス事業では、ガイオ・テクノロジーが提供する自動車メーカー向けのエンジニアリングサービスが堅調に推移しており、今後もソフトウェアの品質向上サービスやモデルベース開発の支援サービスに対する需要が拡大すると予想されます。そのため、これらのサービスに対する開発投資を一層強化していく方針です。また、アイティアクセスは、クラウド決済システムによるストック型の収益基盤を確保するとともに、車載機器向けアプリケーションのサポート需要に応えることで、持続的な成長を実現する競争力を強化しています。

持続的な企業成長に向けて

ステークホルダーと協創し、社会への貢献と企業価値の向上を実現します。

2024年11月から2025年4月にかけて、株主還元策の一つとして365,100株の自己株式を取得しました。当社は、公平でバランスの取れた価値の配分を行うことで、すべてのステークホルダーと協創し、社会への貢献と持続的な企業価値の向上を実現していきたいと考えております。

冒頭で生成AIについて触れたように、半導体やエレクトロニクス業界は中長期的に拡大していくことが予想されます。それに伴い、当社グループを取り巻くビジネス環境が好転していくことが見込まれます。この時流を追い風として、グループにおける協働・協創を深化させ、独自のソリューションや付加価値の高い製品を提供することで、持続的な成長を目指します。
株主の皆様には、引き続き変わらぬご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

2025年6月

代表取締役 社長執行役員大塚 信行