中期経営計画

中期経営計画の最終年度を迎え、その成果を検証するとともに、次なる方針を明確にしていきます。代表取締役社長 小野敏彦

中期経営計画3年目を終えて、この間の成果についてお聞かせください。

「3つの変化」を軸に取り組んだ事業ポートフォリオの転換が順調に進展しました。

当社グループは、創業以来、軸足を置いていた国内半導体産業を取り巻く環境が大きく変化するなかで、中長期的な成長を実現していくために、2018年度を最終年度とする中期経営計画を推進してきました。

中期経営計画に掲げる「3つの変化」 変化1 製品ビジネスからソリューション・ビジネスへ 変化2 国内ビジネスからグローバルビジネスへ 変化3 半導体市場から最終製品市場へ

計画の最終年度を迎えるにあたって、この3年間の成果を検証してみると、図に示した「3つの変化」が着実に進展していることが実感できます。

3つの変化の背景にあるのは、従来の「商社型ビジネス」では、市場の成熟とともに価格競争が避けられなくなり、継続的な利益成長が難しくなっているという危機感です。そこで、積極的なM&Aによって、従来の当社グループになかった技術を吸収し、より高付加価値な製品・サービスを、モノづくりのより上流から提供するとともに、より広い市場を求めて海外にも視野を広げることで、持続的な成長を実現しようとしたのが、本計画の主旨になります。

この3年間の取り組みによって、電子デバイス販売事業やHDD販売事業など、売上規模はあっても低収益な商社型ビジネスから撤退する一方で、機能検証や受託開発など、お客様の企画・設計段階から参画するソリューション・ビジネスが進展しました。また、台湾に本拠を置くSTArを子会社化したことにより、海外売上比率も大きく拡大。これらによって、当社の事業ポートフォリオは3年前と比べて大きく様変わりしています。

事業構造の改革が、グループ内にもたらした変化を教えてください。

「商社」から「メーカー」への転換が、「売上重視」から「利益重視」への意識転換をもたらしました。

こうした事業ポートフォリオの転換が、業績にも大きな影響をもたらしています。商社型ビジネスからの撤退により、売上高こそ横這いですが、収益面では安定した伸びを見せており、その結果、利益率の高い「高収益型」事業モデルへと転換しつつあります。

それ以上に大きな成果だと考えているのが、社員一人ひとりの意識改革です。これまでは、商社型ビジネスにありがちな「売上重視」の姿勢が顕著でしたが、自ら価値を生み出していくソリューション・ビジネスへの転換をしていくなかで「コスト」や「利益」を意識する姿勢がグループ各社に広がっているのを実感しています。

こうした姿勢が「どうすれば利益を出せるか」どうすれば価値を生み出せるか」という創意工夫につながり、グループ全体の知的生産性の向上に寄与するものと期待しています。

中期経営計画期間中の営業利益率推移

次年度からスタートする新計画について方針や考え方をお聞かせください。

現計画中に改善された事業体質のもと収益性をさらに高めるとともに、規模的な成長も実現していきます。

当期は中期経営計画の最終年度にあたりますので、その総括を踏まえつつ、2019年度(2020年3月期)からスタートする新たな計画を策定する必要があります。

詳細については現在、討議を重ねている最中ですが、新計画が目指すのは、現計画で実現しつつある「高収益体質」をさらに強化しながら、同時に規模的な成長も実現していくことです。

お客様や産業社会の課題解決に寄与する、より付加価値の高い製品・サービスの創造と提供を通じて、各事業の収益性をさらに高めていくとともに、そうした付加価値の高い製品・サービスを、より幅広い領域の、そして海外も含めたより広い市場のお客様に提供することで、売上規模の拡大も実現できると考えています。

新たな中期経営計画では、これからの社会の変化、お客様の変化を見据えながら、当社グループが注力すべき領域や市場をしっかりと見極め、そこでの成長に向けた施策や戦略をカタチにしていく必要があります。また、そのために必要な投資については、計画的に、かつリスクを見極めながら実施していく必要があることから、2018年2月には資本政策に関する基本方針を公表しました。この方針のもと、健全かつ高収益な企業体質を維持・強化し、企業価値のさらなる向上を図っていきます。

規模的な成長を実現するための具体的な戦略を教えてください。

中国市場を軸とした「海外展開」と半導体周辺での「事業領域拡大」により確かな成長を実現していきます。

2019年度からスタートする新たな中期経営計画において、規模的な成長を実現していくための柱になると考えているのが、「海外展開の強化」と「事業領域の拡大」です。

まず海外展開については、これまでと同様、中国市場を最重要なマーケットと考えています。現在、中国の経済政策は国内資本を優先しており、当社グループとしては、いかに現地資本とのパートナーシップを築くかがカギとなります。台湾に本拠を置くSTArや資本業務提携先であるCVP Holdings Limitedのネットワークを活かして、現地におけるマーケティングをさらに強化していきます。

事業領域については、当社グループが強みをもつ半導体産業の周辺で、初期投資などのリスクが少なく、かつ高度な技術力が求められる領域を探索していきます。当社グループは、これまでノイズ解析や画像処理など、半導体デバイスの高度化に寄与する独創的な技術をもった企業をグループに加えることで、提案力を高めてきました。IoT化を背景に、半導体デバイスのさらなる高度化が求められるなか、高度でニッチな技術力も求められます。こうした領域で高い技術力をもつパートナーを見出し、M&Aも含めた提携を進めることで、当社グループの価値創造力をさらに高めていきます。

最後に、株主や投資家の皆さまへのメッセージをお願いします。

成長への投資と内部留保のバランスを見据えながら、株主価値の最大化を追求していきます。

現在の中期経営計画では、大胆な構造改革を進めるため、M&Aをはじめ大規模な投資を計画していました。この3年間で大小さまざまな投資を実施しましたが、大規模なM&Aは実現できず、投資額は当初の想定を下回っています。一方で、事業ポートフォリオの転換によって自己資本の充実が進み、無借金の状態も継続していることから、内部留保が想定以上に蓄積されています。

先述した成長戦略を実現するため、今後も必要に応じて機動的な戦略投資を行っていく考えですが、一方で、内部留保の適正化や、株主還元の充実も重視しています。そこで、当期末の剰余金の配当については、当初の1株あたり10円から20円に増配し、年間配当は実施済みの中間配当10円と合わせて1株あたり30円としました。

当社グループは今後も、資本政策に関する基本方針に基づき安定した配当を実施していくとともに、新たな中期経営計画に基づく成長戦略を着実に推進し、株主価値の最大化を図っていきます。株主や投資家の皆様には、引き続きのご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

2018年6月

代表取締役社長小野 敏彦