会長×社長 本音で語るトップ対談
経営者の視点から見たイノテック

イノテック株式会社 代表取締役会長 澄田 誠 イノテック株式会社 代表取締役社長 小野 敏彦 イノテック株式会社 代表取締役会長 澄田 誠 イノテック株式会社 代表取締役社長 小野 敏彦

会長の澄田と社長の小野は、20年来の知己。役員会はもちろんのこと、普段から週に2回はミーティングを持ち、経営方針を確認しています。
今回は、トップふたりに「現在のイノテック」、そして「これからのイノテック」について率直に語ってもらいました。学生に向けた熱い想いも垣間見ることができます。

イノテックには、個人を尊重する風土がある

新卒採用者から「社内の雰囲気が良い」「居心地が良い」という声を聞きますが、
経営者としてどう感じますか。

澄田:イノテックには、「一人ひとりが違う人間である」という前提に立った、個人を尊重する風土があると思います。「頭の数だけ違う考え方があり、心の数だけ違う愛がある」というのはトルストイの言葉ですが、そうした意識は経営層だけでなく現場のリーダーや入社したばかりの社員からも感じます。

小野:風通しも良いですね。社員同士の議論が活発に行われています。

澄田:200名強という、社員全員の顔がわかる規模というのも良いのかもしれません。

小野:比較的、給与水準が高いことも居心地の良さのひとつだと思います。しかし、居心地の良さは緩みに繋がることもあるので、経営者としては喜んでばかりいられません。信賞必罰を明確にして、成果を出した人にはボーナスで応えるなど、新しいしくみを検討中です。

企業として変革期を迎えているということですか。

小野:現在の売上高は300億円程度ですが、中長期的に考えたときイノテックには1,000億円を成し遂げるだけの潜在能力があると考えています。しかし、現状維持で良いと思った途端、縮小する一方になるでしょう。企業として成長するためには、常にお客様のニーズを正確に把握して、自社開発品を含む新しい商材を検討し、未来に向けて適切に選択していかねばなりません。経営層も現場も一体となって、「これまでのイノテックを超える」姿勢が求められます。

新入社員には、どのようなことを期待しますか。

澄田:入社直後の3年は、ありとあらゆることを貪欲 に吸収して欲しいと思います。スティーブ・ジョブズの「コネクティングドット」 の話にもあるように、バラバラに思えた一つひとつの経験が、後からその人のキャリアとして一本に繋がるはずです。

小野:売上高1,000億円というのは、企業にとって大きな壁のひとつですが、そこに一緒に挑める人材が欲しいです。大きな目標であっても、ひるむことなく挑戦する。やる前から諦めてはダメです。今後は海外の販路も積極的に開拓していきますので、これまで日本で培ってきたビジネスとは異なるスピード感が求められます。と言っても、日本でも海外でも大切なのは、まずお客様の要望をしっかり聴くこと。思い込みは厳禁です。私どもはよく「お客様に育てていただいた」と話すのですが、お客様に真摯に向き合った社員ほど驚くほど成長します。

澄田:それこそ3年を経ずに、入社1~2年で劇的に成長する人もいます。そうした人は、はたで見ていて「そこまでするのか!」と驚くような仕事ぶりにもかかわらず、本人は「当然のことをやっただけです」という姿勢。本人よりも周囲の方が先に、成長を実感していますね。

新卒の急成長を促す「ちゃんと失敗する」土壌

なぜ、新卒入社の社員が急成長するのでしょうか。

小野:イノテックでは、大企業と違い、作業を細かく分担して人員を配置することはありません。そこで、早くから「全体を見たうえで自分の仕事をする」姿勢が求められます。そうした環境が人を育てているのかもしれません。また、意欲的なリーダーが多く、次のプロジェクトを実行するために手間を惜しまず人を育てることも若手が成長する要因のひとつでしょう。その人が成長してくれれば、チームとしてもっといろいろな仕事ができますから。

澄田:育てる手間を惜しまない姿勢は、この10年ほど新卒採用を続けてきた成果だと思います。初期の新卒入社の人たちが5年、10年と経ち、次々と結果を出して組織に還元している姿を見ているので、リーダーやチームメンバーも「最初の1年はこのくらいかな?」という勘どころを押さえて、焦らずに取り組めるのではないでしょうか。

小野:入社後すぐに責任ある仕事を任されるというのも大きいかもしれません。営業職の場合、 1年目から海外出張があります。複数人でいくと「誰かが決めてくれる」と委ねる癖がついてしまうので、初回からひとりです。もちろん、最初から上手く行くことはほとんどありません。でも、成長するためには失敗することが大切。そこは、経営層が手を出さずにどこまで我慢できるか試されるところです。経験を重視して、香港出張の際に深センまで足を延ばして直に熱気を感じてくるよう指示することもあります。そうした一つひとつの蓄積が、後の成長に繋がると信じています。

商社の実績とベンチャー気質が生んだ新事業

近年では、専門商社だけではなくメーカーとしての顔も持っていますが、どのような経緯で始まったのでしょうか。

小野:弊社の主力となりつつあるテスター事業は、最初はたった2名からスタートしました。グループの柱となっている子会社のひとつも、同じく2名でスタートしています。どちらも社内ベンチャーのようなものでした。我々のような規模は、現場から「これがやりたい」「あれがやりたい」という声を上げやすく、上司が納得すればすぐ始めることができます。あとは、収益化するまで経営層がどこまで我慢できるかという問題です。

澄田:テスター事業を始めた社員はとても優秀なのですが、では彼らだけでこの事業を成功できたかといえば難しいと思います。というのは、イノテックには20年間テスターの輸入販売をしていた実績がありました。「こんなテスターが欲しい」という顧客ニーズを把握しており、収益化するまで耐え得る資金力もありました。そして、中堅商社としての実績と信頼をもとに、比較的早く製品を購入いただくことができたのです。今は外部リソースを利用しやすい時代なので、弊社のような小まわりがきく規模が有利になってきていると感じています。

企業の歴史も個人のキャリアも
「コネクティングドット」

社員とはどのようなコミュニケーションを取っていますか。

小野:普段から社員と机を並べて働いているので、「今日は、あの人の声が聞こえないな」と思ったらすぐ様子を見るようにしています。単に出張でいないだけということもありますが。酒好きの社員が多いので、帰りがけに呼び止められて飲みに行くこともあります。「バーベキュー大会」や「フットサル大会」などの社内イベントも楽しみですね。どちらも行きたい人が行く自主参加形式ですが、家族で参加する社員も増えてきて賑やかですよ。

澄田:元気がない社員を見かけたら声をかけます。意欲のある人ほど挑戦する環境が必要なので、その人に新たなチャレンジが必要だと思ったときは異動も視野に入れて、人事や本人と話をしますね。

2017年で記憶に残っている出来事は何ですか。

小野:やはり、30周年イベントでしょう。社内でお酒を飲んでいただけですが(笑)。200人余りが一同に会してお酒を飲むことはなかなかないので。

澄田:30周年イベントでは、多くの企業が淘汰されるなかで30年続いてきたのは凄いことだと重みを実感しました。次の40年、50年という節目に向かって、売上高1,000億を目指していきたいと思います。

就職活動中の学生に伝えたいことは、何ですか。

小野:もしかすると、イノテックは数年後にイセエビの養殖をしているかもしれません。突飛な話だと思うかもしれませんが、ITの世界は一見無縁と思えるような物ほど結びついたときに効果を発揮しやすいのです。今、イノテックは必死で変わろうとしています。ぜひ、学生の皆さんも「自分自身の変化」に柔軟になって欲しいと思います。例えば、ビールが苦手な人。無理に飲む必要はありません。でも、企業はチームであり、組織です。たとえ実際には飲まなくても、最初の乾杯のタイミングにグラスを合わせることでチームメンバーのやる気がアップすることもあります。言われたことをただ正確にやるなら、ロボットに任せましょう。自分自身の頭で考えて、「これを実現するために、こういうことをやりたい」という意欲を持って欲しいのです。

澄田:イノテックには、面白い仕事ができる環境があり、成長できる環境があります。個人のキャリアもそうですが、会社の成長もまさに「コネクティングドット」。創立からの30年を振り返ると、様々な縁に支えられたラインが見えてきます。
学生の皆さんも、ときには自分がどう生かされてきたのか振り返ってみると面白いと思いますよ。

(2017年11月某日 取材)