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ガバナンス

コーポレート・ガバナンス

当社は、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することは、企業が競争力のある効率的な経営を行うための必須条件であるとの認識に立ち、また、株主が求める投資収益の最大化を実現するために、グローバルスタンダードに基づく公正な経営を目指します。

企業統治の体制の概要および当該体制を採用する理由

企業統治の体制の概要

当社は、2023年6月23日開催の第37回定時株主総会における定款変更決議により、同日付をもって監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。この移行は、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会の構成員とすることにより、取締役会の監督機能を強化し、さらなる監視体制の強化を通じてより一層のコーポレート・ガバナンスの充実を図ること、また、取締役会が業務執行の決定を広く取締役に委任することを可能とすることにより、業務執行と監督を分離するとともに経営の意思決定を迅速化し、さらなる企業価値の向上を図ることを目的とするものであります。また、業務執行機能の強化とともにコーポレート・ガバナンスの向上を目的として、同株主総会において執行役員に関する規定を新設する定款変更が決議されたことにより、新たに執行役員制度を導入しました。取締役会については、取締役5名(うち、女性1名)を選任し、責任の明確化と経営環境の変化への迅速な対応のため、任期を1年(監査等委員は2年)としています。なお、取締役のうち過半数の3名が社外取締役であります。取締役の構成員は、代表取締役社長執行役員 大塚信行、代表取締役専務執行役員 棚橋祥紀、社外取締役 安生一郎(取締役会議長)、社外取締役 中江公人、社外取締役 廣瀬史乃であります。監査等委員会については、監査等委員3名(うち、女性1名)を選任しており、全員を社外取締役とすることで、監査の独立性が十分に保たれているものと考えています。監査等委員の構成員は、社外取締役 中江公人(監査等委員会委員長)、社外取締役 安生一郎、社外取締役 廣瀬史乃であります。

また、取締役会の諮問機関として、独立社外取締役が委員の過半数を占める任意の諮問委員会を設置し、取締役および執行役員の選任・解任や報酬の内容等について助言・提言を行うことにより、取締役会等の機能の独立性、客観性および説明責任の強化を図っています。諮問委員会の構成員は、独立社外取締役 廣瀬史乃(諮問委員会委員長)、独立社外取締役 安生一郎、独立社外取締役 中江公人、代表取締役社長執行役員 大塚信行であります。
なお、当社の企業統治の体制を図で示すと、次のとおりであります。

企業統制体制図

当該体制を採用する理由

当社は、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員が取締役会で議決権を行使することを通じて監督機能を強化させるとともに、取締役会から取締役への権限委譲による意思決定と業務執行の迅速化を図ることにより、さらなるコーポレート・ガバナンスの充実と企業価値の向上を目指すことができると考えているため、2023年6月23日より現在のコーポレート・ガバナンス体制を採用しています。

役員の状況

社外役員の状況

2023年6月23日現在、当社の社外取締役は3名であり、全員が監査等委員であります。なお、いずれの社外役員も当社との間に特別な関係はありません。

社外取締役安生一郎は、長年の半導体業界における経験から、主に企業経営面について、独立の立場から的確な意見をいただいているものと判断しています。なお、安生一郎は株式会社実装パートナーズの代表取締役を兼任していますが、当社と同社との間に特別な関係はありません。

社外取締役中江公人は、行政機関および金融機関における長年の経験と専門的な知識を有していることから、幅広い見地から当社経営に対する的確な助言および業務執行に対する適切な監督をいただいているものと判断しています。なお、中江公人は大和証券株式会社の監査役であり、当社は同社の親会社である株式会社大和証券グループ本社とIRに関する取引がありますが、当該取引金額は僅少であり、当社の売上規模に鑑みて特別な利害関係を生じさせる重要性は無いものと考えています。また、公益財団法人東京財団政策研究所の監事を兼任していますが、当社と同公益財団法人との間に特別な関係はありません。

社外取締役廣瀬史乃は、弁護士として企業法務およびコンプライアンス問題に精通しているうえ、豊富な国際経験や企業活動に関する幅広い見識を有しており、これらの専門的な知識・経験と高い見識を当社の経営全般に反映いただいているものと判断しています。なお、廣瀬史乃は阿部・井窪・片山法律事務所のパートナー等を兼任していますが、当社と同事務所等との間に特別な関係はありません。

当社は、会社法で定める社外取締役の要件および東京証券取引所で定める社外取締役の独立性基準のほか、当社が定める以下の各項目のいずれにも該当しない場合に、独立性を有しているものと判断しています。

・当社またはそのグループ会社の総議決権の10%以上の株式を所有する株主、あるいはその組織において勤務経験がある。

・過去5事業年度において、当社またはそのグループ会社の主要な取引先、主要な借入先、主幹事証券等において勤務経験がある(主要な取引先とは、その取引金額が当社もしくはそのグループ会社または相手方の連結売上高の2%を超える場合を指し、主要な借入先とは、その借入額が当社もしくはそのグループ会社または相手方の連結総資産の2%を超える借入先をいう)。

・過去5事業年度において、当社またはそのグループ会社から役員報酬以外に、多額の弁護士報酬、監査報酬、コンサルティング報酬等を得ている、あるいはその組織に勤務経験がある(多額とは、年間50百万円以上を指す)。

・当社またはそのグループ会社から、累積して一定額を超える寄附を受けた団体に属する(一定額とは、20百万円以上を指す)。

・上記に掲げるものの二親等内の親族または同居の親族。

・当社の取締役の通算在任期間が10年を超える。

なお、当社は安生一郎、中江公人および廣瀬史乃を東京証券取引所の定めに基づく独立役員として指定し、同取引所に届け出ています。

社外取締役による監督と内部監査、監査等委員会監査および会計監査との相互連携ならびに内部統制部門との関係

当社の社外取締役3名は全員監査等委員であります。社外取締役は、財務報告に対する信頼性向上のため、内部監査室および会計監査人と定期的にそれぞれの意見の交換、情報の聴取等のため会合をもち、あるいは必要に応じて監査に立ち会うなどの連携に加え、取締役会において定期的に内部統制の運用状況について報告を受けることにより、共有すべき情報について相互に把握できるような関係にあります。

取締役会の実効性評価

当社は、2015年度(2016年3月期)から取締役会の実効性について、分析・評価を行い、その結果の概要を開示しています。2022年度(2023年3月期)も全ての取締役・監査役を対象に、以下のとおり取締役会の実効性に関する自己評価を行いました。

評価方法

①昨年度は、第三者機関による調査を行いましたが、本年度は、2023年3月に、取締役会事務局の作成したプラットフォーム上にて、全取締役9名および全監査役4名に対し、「取締役会実効性アンケート」を配布し、回答を得ました。取締役会実効性アンケートの回答は、事務局によるヒアリングを行うため、記名の形式をとりました。

②回収したアンケート結果に基づき、スコア分析や回答者の意見の整理を行いました。

③2023年4月開催の当社取締役会において、取締役会実効性評価の報告を行い、取締役会実効性アンケートにおける各取締役・監査役の具体的な回答や、当該アンケートの分析の結果を説明しました。当該取締役会においては、報告をもとに議論を行い、今後の課題に対して改善をすすめることとなりました。また、社外取締役が、取締役会実効性評価に関する最終報告を行い、議論の後、2023年3月期の取締役会の実効性の評価を確定しました。

アンケート項目

2022年度(2023年3月期)取締役会実効性アンケートの質問票の大項目は以下のとおりです。設問ごとに5段階で評価する方式としており、当該項目に関する自由コメント欄を設けています。当該設問は、昨年度の実効性評価結果と比較できるように配慮しつつ、質問項目を当社の課題に対しより適合した内容となるように整理いたしました。

  • 1.取締役会の構成および多様性
  • 2.取締役の指名、選任・解任および任意の諮問委員会の評価
  • 3.取締役への情報提供およびトレーニングの機会
  • 4.取締役の役割、資質
  • 5.取締役会の運営
  • 6.経営陣の業績評価と報酬決定および任意の諮問委員会の評価
  • 7.取締役会の議論・審議およびESG、投資家との対話
  • 8.社外取締役の満足度
  • 9.取締役会実効性評価

前年度認識された課題への対応状況

2021年度(2022年3月期)取締役会実効性アンケートの評価の結果を踏まえ、2022年度(2023年3月期)において、取締役会および取締役会事務局は、以下の点に取り組みました。

・人材資源の確保に関する議論

2021年度(2022 年3 月期)取締役会実効性評価アンケートの評価は低くありませんでしたが、人材資源の確保に関する議論をより深めるべきという意見がありました。これを受けて、従業員向け株式報酬制度の導入、インフレ対応一時金の支給や従業員エンゲージメント調査の実施を行いました。これらの施策に加え、当社取締役会においても、サステナビリティ推進委員会における詳細な検討を踏まえて議論を行いました。今後も、当社では、人的資本経営を重視した議論を行っていきます。

・社外役員間のコミュニケーション機会の提供

昨年度は引き続き新型コロナウイルス感染症の流行下にあったため、コミュニケーション機会の提供を積極的に行える環境にはありませんでしたが、感染状況に留意しながら、懇親の場の提供やグループ企業への訪問機会の提供など、少しずつコミュニケーション機会を増加させています。

・選解任基準の明確化

任意の諮問委員会にて、サクセッションプランの議論を重ねました。経営者のあるべき資質などについて、第三者の知見を活かしながら、さらなる明確化および次期経営者の育成計画を検討しているところです。

2022年度の評価結果

2022年度(2023年3月期)取締役会実効性アンケート・分析および取締役会での議論の結果、2022年度の取締役会の実効性については以下の内容が確認されました。

・全般的に、評価点数は低くありませんでした。取締役会は概ね実効性が確保できているとの結果を確認いたしました。

・取締役会の構成および多様性については、取締役会の規模、構成割合や専門性のバランスなど、概ね適切との結果でした。

・取締役の指名、選任・解任および任意の諮問委員会の評価については、そのプロセスや選任の結果、諮問委員会の構成や諮問内容の妥当性など、概ね適切との結果でした。

・取締役の役割、資質については、概ね適切との結果でした。社外取締役および社外監査役の資質について、多様な意見はありましたが、評価は低くありませんでした。

・取締役会の運営、取締役への情報提供およびトレーニングの機会については、取締役会における議論は活発に行われており、概ね適切との結果でした。情報の質や提供の機会についても、概ね不満はありませんでした。

・経営陣の業績評価と報酬決定および任意の諮問委員会の評価については、報酬制度やその決定プロセスなど、概ね適切であるとの結果でした。

・取締役会の議論・審議およびESG、投資家との対話、および社外取締役の満足度については、経営戦略、経営計画に関する議論、ESG 等に関する議論など、概ね適切との結果でした。

・取締役会実効性評価についても、概ね適切との結果でした。

今後の課題

数年にわたる改善の結果、取締役会の実効性に関する明確な課題は、なくなりつつあり、実効性評価の意義も薄まりつつあります。社外役員の選任基準や従業員の雇用・教育の方針など基準作成が途上のもの、取締役会の機関設計やそれに伴う取締役会で議論すべき事項の特定については、今後も検討を行ってまいります。

役員の報酬等

役員の報酬等の額またはその算定方法の決定に関する方針に係る事項

当社は、2023年6月23日開催の定時株主総会において、監査等委員会設置会社への移行および執行役員制度の導入等を内容とする定款変更が決議されたことにより、同日付をもって監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。当社は、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針を取締役会において決議しています。当該取締役会の決議に際しては、あらかじめ決議する内容について、独立社外取締役が過半数を占め、独立社外取締役を委員長とする任意の諮問委員会(以下、諮問委員会という。)へ諮問し、答申を受けています。当該決定に関する方針は以下のとおりであります。

基本方針

  • ・各取締役の役割や責任に応じた報酬体系とします。
  • ・業績や企業価値の向上を図る適切なインセンティブとして機能させます。
  • ・中長期的な企業価値向上に資する報酬体系とし、株主との利益意識を共有します。
  • ・決定プロセスの透明性と、報酬水準の客観性・公平性を確保します。
  • ・報酬体系や水準は経済・社会情勢や当社グループの経営環境を踏まえ、適宜見直しを行います。

取締役の報酬等は、固定報酬である「月額報酬」、短期の業績に連動した「業績連動報酬」および中長期インセンティブとしての「譲渡制限付株式報酬」で構成されており、それぞれの内容は以下のとおりであります。なお、社外取締役および監査等委員である取締役の報酬は、経営の監督や経営に対する助言を行うとの役割を考慮し、「月額報酬」のみとしています。

報酬等の種類 報酬等の内容
固定報酬(月額報酬) 全ての取締役に対して、経営監督を担う職責および業務執行を担う職責に対する対価として、役職および職責に応じて支給しています。
業績連動報酬 取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く。)および執行役員に対して連結業績に基づいて支給される賞与であり、その支給および支給額に関しては連結会計年度ごとの親会社株主に帰属する当期純利益の目標達成を条件とし、その目標超過率によって変動することとしています。親会社株主に帰属する当期純利益を利益目標として採用する理由は、企業価値の向上や株主還元の充実に直接寄与する重要な経営指標と考えるためであります。支給総額の上限は、支給対象取締役および執行役員の月額報酬合計額の300%までとしており、各取締役および執行役員への配分については、分掌する事業の連結業績に対する貢献度や期初予算の達成度、ESG/SDGsへの取り組み実績に加え、役職や職責等を考慮し決定しています。業績評価の指標としては、業績責任を測るうえで最適と考えている連結営業利益を採用することとしています。
譲渡制限付株式報酬 取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く。)に対して、当社グループの企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、株主との利益意識を共有することを目的として付与しています。各取締役に付与する株式数については、まず前連結会計年度の連結ROEと前連結会計年度末の連結PBRをそれぞれ50%の比率で評価指標として用いて付与する株式の総数の上限を決め、各取締役の中長期の企業価値拡大への貢献を評価し決定しています。

諮問委員会は株主総会の決議および役員報酬規程に定める基準ならびに業績評価に基づき、報酬総額および代表取締役を含む取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く。以下同じ。)の「月額報酬」および「譲渡制限付株式報酬」の個人別の報酬額の妥当性・公平性について審議を行い、取締役会に答申しています。取締役会は、その答申をもとに取締役の個人別の報酬額を決定しています。

また、代表取締役を含む取締役および執行役員の「業績連動報酬」については、取締役会にて、支給総額の上限、および個人別の報酬額の決定を代表取締役社長執行役員である大塚信行に一任する旨を決議しています。その権限の内容は、各取締役および執行役員が分掌する事業の連結業績に対する貢献度や期初予算の達成度、ESG/SDGsへの取り組み実績に加え、役職および職責などを考慮した業績連動報酬の評価配分であり、これらの権限を委任した理由は、当社グループ全体の業績を俯瞰しつつ各取締役および執行役員が分掌する事業の評価を行うには代表取締役社長執行役員が最も適していると考えるためであります。諮問委員会は株主総会の決議および役員報酬規程等に定める基準ならびに業績評価に基づき、代表取締役を含む取締役および執行役員の「業績連動報酬」の個人別の報酬額の妥当性・公平性について審議を行い、代表取締役社長執行役員に答申しています。代表取締役社長執行役員は、その答申をもとに、取締役会決議により一任された範囲内で、個人別の報酬額を決定しています。

なお、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定にあたっては、諮問委員会が原案について当該決定に関する方針との整合性を含めた多角的な検討を行っているため、取締役会としても基本的にその答申を尊重し、当該決定に関する方針に沿うものであると判断しています。
2023年6月23日開催の第37回定時株主総会において、取締役(監査等委員である取締役を除く。5名以内とする旨定款に定めています。)の報酬限度額は、年額300百万円以内(ただし、使用人分給与は含まない。)とすることおよび当該報酬限度額とは別枠で、取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く。)に対し年額150百万円以内の譲渡制限付株式を付与する報酬制度を決議いただいています。また、同株主総会において、監査等委員である取締役(5名以内とする旨定款に定めています。)の報酬限度額は、年額60百万円以内と決議いただいています。なお、同株主総会終結時点における取締役(監査等委員である取締役を除く。)の人数は2名、監査等委員である取締役は3名(うち社外取締役は3名)です。

役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数
役員区分 報酬等の総額
(千円)
報酬等の種類別の総額(千円) 対象となる
役員の員数
(人)
固定報酬 業績連動報酬 譲渡制限付
株式報酬
退職慰労金
取締役
(社外取締役を除く)
192,183 166,200 25,983 5
監査役
(社外監査役を除く)
13,200 13,200 1
社外役員 49,200 49,200 6
  1. 当社は、2023年6月23日付で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行していますが、上記の「役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数」については、2023年3月期に関するものであり、監査等委員会設置会社移行前の内容を記載しています。
  2. 報酬等の総額には、当社連結子会社の取締役を兼務した当社取締役に対する当該子会社の役員報酬総額92,079千円は含まれていません。
  3. 当事業年度における業績連動報酬に係る指標の目標および実績は次のとおりであります。
連結営業利益
当初目標2,650百万円
実績2,319百万円
親会社株主に帰属する当期純利益
当初目標1,700百万円
実績1,666百万円