Intel Atom®は終了?後継は? 最新世代 Amston Lakeで考える産業用PCの置き換え

Intel Atom®は一律に終了するわけではありません。世代ごとの供給状況を確認し、産業用途ではAmston Lake (Intel Atom x7000REシリーズ)を後継候補として早めに評価することが大切です。
Intel Atomは「終了」するの?
「Intel Atom®は終了するの?」
「いま使っているAtom搭載PCの後継は、何を選べばよいの?」
「Intel Atom®の最新世代は、産業用PCでも安心して使えるの?」
最近、このようなご相談をいただく機会が増えてきました。特に、FA機器、検査装置、計測機器、交通システム、医療機器などで産業用PCを長くお使いのお客様にとって、CPUの供給状況や後継製品の有無はとても重要なテーマです。
結論からお伝えすると、Intel Atom®が一律に終了する、という話ではありません。ただし、世代ごとに供給期間や後継の考え方は変わってきています。これからも安定して装置を使い続けるためには、いまお使いのAtomがどの世代なのか、そして次にどの世代へ移行するのかを早めに確認しておくことが大切です。
「Intel Atom®終了」が気になる理由
産業用PCや組込み機器では、一般的なPCよりも長い期間、同じ構成で使い続けることが多くあります。 5年、10年、ときにはそれ以上の保守を前提に装置設計をされるお客様も少なくありません。
そのため、CPUやチップセットのEOL(End of Life:供給終了)情報は、単なる部品情報ではなく、装置全体の保守計画に関わる大切な情報になります。Atom E3900シリーズ以前は、15年間の長期供給を前提に計画されていた世代もありました。一方で、Atom x6000シリーズ以降では、供給期間の考え方に変化があり、装置メーカーやユーザー側でも、より早い段階で後継計画を検討する必要が出てきています。
つまり「intel Atom® は終了するの?」と相談をいただく背景には “Atomというブランドがなくなるのか”という不安と “いま採用しているAtom搭載PCが、いつまで使えるのか”という実務的な確認ニーズの両方からなのだと思われます。ここで大切なのは、Atomという名称だけで判断するのではなく、世代ごとの供給状況と、用途に合った後継候補を確認することです。
Intel Atom®の後継を選ぶときに見るべきポイント
Intel Atom®の後継を検討するとき、CPU性能だけで比較してしまうと、少し判断が難しくなることがあります。産業用PCでは、処理性能に加えて、長期供給の見通し、消費電力と発熱、ファンレス動作のしやすさ、既存筐体への収まりやすさ、I/O構成の違い、OS対応、電源断・瞬停への備え、PCNなどの変更管理、24時間運用を前提にした信頼性などを、まとめて確認する必要があります。
特に産業用途では「CPUが新しいかどうか」だけでなく、装置として長く安定して使えるかが大切です。一般PC向けでは、N100やN150といった低消費電力CPUも話題になることがあります。ただ、産業用PCや組込み用途では、稼働期間、長期供給、温度条件、I/O、OS対応、保守体制まで含めて考える必要があります。その意味で、産業用途向けの後継候補として注目したいのが、Intel Atom® x7000REシリーズ、通称Amston Lakeです。
Intel Atom®の最新世代、Amston Lakeとは?
Amston Lakeは、Intel Atom® x7000REシリーズとして展開されている産業用途向けのプロセッサです。最大8個のEコアを搭載し、低消費電力でありながら、従来世代から処理能力やグラフィックス機能が強化されています。Intelの製品概要でも、x7000REシリーズは最大8コア、最大32EUのIntel® UHD Graphics、6W~12Wクラスの省電力パッケージなどが特長です。
これまでのAtomに対して、「省電力だけれど性能は控えめ」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、最新世代のAmston Lakeでは、HMI、監視、ロギング、軽量なエッジ処理など、産業現場で求められる多くの用途に対して、十分に現実的な処理性能を備えています。
また、低消費電力であることは、単に電気代を抑えられるというだけではありません。発熱を抑えやすく、ファンレス設計にもつなげやすいため、塵や埃の多い現場、静音性が求められる環境、長時間連続稼働が必要な装置でも扱いやすくなります。
弊社ベンチマークでも、Amston Lake世代の性能向上を確認
弊社でも、Skylake世代のCore i3搭載製品であるSX-8030(Core i3-6100E)と、Amston Lake世代のAX-1130(Atom x7835RE)で、CinebenchおよびPassMarkのベンチマークを実施しました。結果を見ると、単一処理の性能も着実に向上しつつ、特にマルチコアや各種CPU演算系のスコアで大きな伸びが確認できました。
※SX-8030の比較対象CPUは、Intel Atom®ではなくSkylake世代のCore i3-6100Eです。表中では、世代更新の比較対象として記載しています。

たとえばCinebenchのMulti Coreでは、SX-8030の1,807に対してAX-1130は3,953となり、約2.19倍の結果でした。PassMark CPU Markでも、SX-8030の約3,257に対してAX-1130は約8,670となり、約2.66倍のスコアを示しています。
HMI、監視、ロギング、複数プロセスを同時に動かすような装置用途では、このようなCPU性能の底上げが、余裕のある動作につながりやすくなります。
なかでもInteger Math、Floating Point Math、Compression、EncryptionといったCPU演算系の項目では、AX-1130が大きく上回りました。暗号化処理は約7.08倍、浮動小数点演算は約4.04倍と、従来のAtomに対する性能イメージを更新できる結果といえます。一方で、メモリやストレージ、OSの構成が異なるため、すべての項目をCPU単体の差として見るのではなく、実際の装置構成で評価することが大切です。
測定環境について


ベンチマークは弊社測定値(各2回実施平均)です。PassMark RatingやDisk Markなどの総合系スコアにはCPU以外にメモリ、ストレージ、OS構成の違いも影響します。そのため、値は性能傾向を把握するための目安としてご覧ください。実際の置き換えでは、アプリケーション、I/O、OS、ストレージ構成を含めた実機評価をおすすめします。
Skylake/Kaby Lake世代からの置き換えにも
Amston Lakeは、Atom x6000E世代や以前のAtom製品の後継としてだけでなく、前述の通り古いCore系やXeon系プロセッサを搭載した産業用PCの置き換え候補としても注目されています。特にSkylake/Kaby Lake世代の産業用PCは、いまも多くの現場で稼働しています。しかし、これらの世代は登場から時間が経っており、今後の保守やOS対応を考えると、早めに更新計画を立てておくことが安心につながります。
Amston Lake搭載製品では、旧世代のCore系プロセッサと同等、またはそれ以上の処理能力を実現しながら、TDP12Wクラスの低消費電力に抑えられる構成もあります。例えば弊社産業用PCのEMBOX® AE1170は、Amston Lake搭載により、旧世代Core系プロセッサの置き換えで消費電力を大幅に削減できます。
もちろん、すべてのアプリケーションで単純に置き換えられるわけではありません。単スレッド性能、I/O、OS、ドライバー、アプリケーションの動作条件などは事前評価が必要です。ただ、HMIや監視、ログ収集のように、I/O待ちや複数タスクの比率が高い用途では、体感差が出にくいケースも多くあります。
ボード単位で置き換えるなら、AX-1130
装置の中に組み込むCPUボードを見直したい場合には、弊社CPUボードのAX-1130が候補になります。AX-1130は、Intel Atom® Amston Lake x7000REシリーズを搭載した組込み向けCPUボードです。Mini-ITXより小さい145×140mmサイズで、国内設計・国内製造、ファンレス、24時間運用を想定した設計など、産業用途で求められるポイントを押さえています。Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC、Windows 11 IoT Enterprise 2024 LTSC、各種Linuxへの対応も可能です。
「既存装置の筐体はなるべく活かしたい」「ボード単位で世代更新を進めたい」「次世代装置向けに、長く使える国産CPUボードを探している」。このような場合には、AX-1130をベースにした検討が進めやすくなります。
PCごと置き換えるなら、EMBOX AE1170
一方で、既存PCを“箱ごと”置き換えたい場合には、EMBOX® AE1170がおすすめです。EMBOX® AE1170は、Intel Atom® Amston LakeとLIC(リチウムイオンキャパシタ)を組み合わせ、UPS機能を内蔵した産業用BOX型PCです。従来の外付けUPSで課題になりがちな、バッテリー交換、設置スペース、配線、メンテナンスの手間を抑えやすい「手間なしFAPC」として製品化しています。
電源供給が停止した際には、リチウムイオンキャパシタからの電源供給に切り替わり、データ保護と安全なシャットダウンを支援します。電源環境が不安定な現場や、主電源で装置全体をまとめてオン/オフするような運用でも、PC側のデータ破損リスクを下げやすくなります。
また、EMBOX® AE1170は自社設計・国内製造の産業用PCであり、長期供給、PCN対応、ファンレス設計、Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC/Windows 11 IoT Enterprise 2024 LTSC対応など、長く使う産業用途に必要な要素を備えています。
置き換え前に確認しておきたいこと
Atom搭載PCやSkylake/Kaby Lake世代PCを置き換える際は、現在使用しているCPU型番、OSの種類とバージョン、アプリケーションの動作要件、使用しているI/O、電源仕様、設置スペース、発熱条件、停電・瞬停時の動作、保守期間、量産・保守用の必要台数を、あらかじめ整理しておくと評価がスムーズです。
特に、Windows 11 IoT Enterprise 2024 LTSCへの移行を検討されている場合は、OS、ドライバー、アプリケーション、周辺機器をまとめて評価することをおすすめします。
選定・評価時に整理しておきたいチェックリスト
CPUボードや産業用PCの置き換えでは、CPU性能だけでなく、装置全体の条件を早めに棚卸ししておくことが大切です。以下の項目を整理しておくと、後継候補の選定や評価機での確認がスムーズになります。

また、最初からすべての条件が決まっていなくても問題ありません。現行機の型番や写真、使用しているI/Oの一覧だけでも、後継候補の絞り込みに役立ちます。
お問い合わせから量産までの支援フロー
INNINGSでは、評価機での確認から量産前の仕様整理、量産・保守まで、段階に応じてご相談いただけます。典型的な流れは以下の通りです。

現行機種、用途、OS、I/O、台数、保守期間などを確認し、置き換えの方向性を整理します。

AX-1130やEMBOX® AE1170など、用途に合う候補機種の選定・カスタム可否の確認をします。

実際のアプリケーション、OS、I/O、周辺機器との互換性を実際にご確認いただけます。
起動、表示、通信、ストレージ、電源断時の挙動、長時間稼働などを評価し潜在的な課題を抽出します。

評価結果をもとに、標準モデルで対応可能な条件を整理し、量産前の仕様を確定します。
必要なオプションや個別要望の対応可否を確認します。

量産移行後も、長期供給、PCN対応、保守部材の確保など、長く使うための運用を支援します。
評価段階で不明点が出てきた場合も、早めに共有いただくことで、後戻りの少ない置き換え計画につなげやすくなります。まずは現行構成の整理から、お気軽にご相談ください。
まずは実機で確認してみませんか?
「Intel Atom 終了」というキーワードは、かなりショッキングな言葉です。いわゆるバズワードみたいな感じでしょうか?しかし実際には、Atomが突然なくなるというよりも、古い世代から新しい世代へ更新するタイミングに来ていると考える方が自然です。

産業用PCでは、性能だけでなく、供給、保守、発熱、電源、OS、I/Oまで含めた検討が必要です。
Amston Lake搭載のAX-1130やEMBOX® AE1170は、そうした置き換えを進めるうえで、安心してご検討いただける選択肢です。
INNINGSでは、EMBOX® AE1170やAX-1130の貸出機(評価機)もご用意しています。実際のアプリケーション、OS、I/O、電源断時の動作などを、実機で確認いただくことが可能です。Atom搭載PCの後継選びや、産業用PCの更新でお困りの際は、まずはお気軽にご相談ください。
Q&A
Intel Atomの終了・後継・最新世代についてのQ&Aをまとめました
Intel Atom®は終了するのですか?
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すべてのIntel Atom®が一律に終了するわけではありません。重要なのは、現在お使いのAtomがどの世代・どのSKUなのかを確認することです。世代ごとに供給期間や後継候補が異なるため、装置の保守期間に合わせて早めに確認しておくと安心です。
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Intel Atom®の後継は、何を選べば良いでしょうか?
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産業用PCや組込み用途では、Intel Atom® x7000REシリーズ(Amston Lake)が有力な後継候補のひとつです。最大8コア構成や低消費電力、ファンレス設計との相性など、長期運用を前提とした装置で検討しやすい特長があります。
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Intel N100やN150はAtomの後継ですか?![]()
一般PCやミニPCの文脈では、N100/N150などをAtom系の流れとして紹介する情報もあります。ただし、産業用PCでは長期供給、温度条件、I/O、OS対応、保守体制が重要です。そのため、装置用途では産業向けに展開されるAmston Lake搭載品を優先して比較することをおすすめします。
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Amston Lakeは、旧世代CoreやXeonの置き換えにも使えますか?![]()
用途によっては十分に候補になります。特にHMI、監視、ロギング、軽量なエッジ処理のように、I/O待ちや複数タスクの比率が高い用途では、ベンチマーク上の差がそのまま体感差にならないケースもあります。ただし、単スレッド性能や周辺I/O、OS、ドライバー条件は必ず実機で確認することをおすすめします。
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Windows 11 IoT Enterprise 2024 LTSCへの移行も同時に検討できますか?![]()
はい。CPU世代更新とOS移行は、同じタイミングで評価すると効率的です。既存アプリケーション、ドライバー、周辺機器、起動・終了処理、電源断時の挙動などをまとめて確認しておくと、量産後のトラブルを減らしやすくなります。
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AX-1130とEMBOX® AE1170は、どのように選び分ければよいですか?

装置内のCPUボードを見直したい場合はAX-1130、PC本体をまとめて置き換えたい場合はEMBOX® AE1170が候補になります。既存筐体やI/Oを活かしたい場合はボード単位、電源断対策や保守性まで含めて見直したい場合はBOX型PCという切り分けがしやすいです。
電源断対策まで含めて置き換えたい場合はどうすればよいですか?

電源環境が不安定な現場や、主電源で装置全体をオン/オフする運用では、UPS機能を内蔵したEMBOX® AE1170が検討しやすい選択肢です。リチウムイオンキャパシタによるバックアップにより、データ保護と安全なシャットダウンを支援します。
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置き換え前に貸出機で評価できますか?![]()
はい。EMBOX® AE1170やAX-1130は貸出機(評価機)をご用意しています。実際のアプリケーション、I/O、OS、電源断時の動作などを、お客様の環境に近い形で確認いただけます。



